大成丸から見た青雲丸と名古屋港ポートビル

 2007年11月、航海訓練所の練習船4隻が相次いで名古屋港に入港しました。11月9日には帆船日本丸・海王丸が同時入港。そして24日から28日までは大成丸と青雲丸が入港していました。

 ここでは11月25日に行われた大成丸と青雲丸の一般公開の様子を紹介します。写真は大成丸船上から見た青雲丸と名古屋港ポートビルです。

 
大成丸

大成丸

 大成丸は世界的にも数少ない蒸気タービン推進の練習船です。ディーゼル船に比べ速くて振動が少ないタービン船は、かつては客船向きとされていました。しかし燃費が悪く、航空機や新方式の高速船が普及した現在は軍艦やLNG船に残るのみです。

 
大成丸

 大成丸という名前の練習船は過去に2隻ありました。
 初代大成丸は1904年就航の帆船でした。長さ84.14m、幅13.33m、総トン数2423.68tの4檣バーク型で、現在横浜で保存されている初代日本丸に近い規模の船だったようです。終戦直後の1945年10月に神戸港で触雷して沈没しました。

 
2代目大成丸のスカッツル

 2代目大成丸は、日本郵船の貨客船小樽丸(1948年就航)を改造した船でした。船体を10m延長する大改造が行われ、1954年に練習船大成丸として就航。1981年に引退しました。
 この船の丸窓が2つ、現在の大成丸の船内に保存されています。

 
上から見た大成丸

 3代目大成丸は1981年就航。航海訓練所の練習船では最年長です。フォクスルデッキ(船首部分のデッキ)が一段高く、ドッキングブリッジ(後部デッキ上の左右に長い構造物)があり、後部マストも煙突から独立しているなど、他の練習船と比較するとやや古い様式の外観です。
 排気音はゴーッ‥‥と言う感じの連続音で、ディーゼル船と異なります。

 
タービンを見下ろす

 機関室です。画面右に見えているのが低圧タービンで、画面外左下の辺りに高圧タービンがあります。ボイラーで作られた蒸気は高圧、低圧の順に2つのタービンに導かれます。2つのタービンの出力軸は1台の減速器に繋がっており、その先にプロペラシャフトがあります。
 タービン船の機関室はディーゼル船より暑いと聞いていましたが、それを実感できました。(航行中はもっと暑いのでしょう)

 
大成丸のハウス正面

 ハウス正面です。一番上に航海船橋(通常のブリッジ)があり、その下に実習船橋(実習用のブリッジ)があります。

 
大成丸のブリッジ

 航海船橋です。2本の大きなレバーは右がバウスラスター、左がエンジンテレグラフです。写真左の3連窓の所がブリッジの中央部で、窓際にジャイロコンパスがあります。窓の上には舵角指示器、回転計、傾斜計などの計器が並びます。

 
大成丸の操舵輪

 操舵輪です。もちろんオートパイロット付きです。

 
磁気コンパスと伝声管

 操舵輪の上の天井には磁気コンパス(左の縦長の物)、サテライトコンパス(その上の黒い四角の装置)があります。磁気コンパスはジャイロコンパス故障時に備えた装備ですが、ジャイロコンパスの信頼性が高いためほとんど使われません。

 右のラッパのような物はコンパスデッキ(ブリッジの屋上)に通じる伝声管ですが、トランシーバーがあるのでまず使う事はありません。

 
実習船橋

 ここは航海船橋の下にある実習船橋です。コンパスや速度計など航海船橋と同じ計器類があり、ここで操船の模擬訓練が行われます。教官は航海船橋から指示を出します。

 実際の操船は航海船橋で行われるため操舵輪やエンジンテレグラフはありません。

 
大成丸の船長公室

 船長室です。実習船橋の下にあります。写真は左舷側にある公室で、応接室として使われます。右舷側には寝室となる私室があります。

 
大成丸

大成丸 主要諸元

総トン数5,886.73トン
長さ124.84m 幅17.00m 深さ10.50m
速力(最大/巡航) 19.22ノット/17.9ノット
機関出力 5,148kW (7,000PS)
定員 214名(うち実習生140名)
建造 日本鋼管鶴見(1981年)

 

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